小学館 (2011-01-18)
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名作「とある飛空士への追憶」から世界観を引き継いだ「とある飛空士への恋歌」がついに完結。
悲恋で終わった追憶と、異なった完結を迎えることが出来るのか。
感想は続きを読むから。ネタバレ全開なのでご注意、
イグナはツンデレ。
まず序文としてこの言葉から始めなければいけないだろう。
男のツンデレなど誰も嬉しくない、そう思う諸兄らもいるだろうが
「真剣で私に恋しなさい!」の源忠勝、通称ゲンさんのように頼りになるキャラが
ツンデレというのは割と萌える。
「お前らのためじゃないからな、勘違いするなよ。」
こういうテンプレセリフが頼もしく聞こえるのも恐ろしいところ。
寮のみんなにツンデレとイジラれて狼狽する所など萌えないでどうする。
ちょっとあとの場面のイグナの独白にもありますが、今回カルが乗り越えた憎しみというのを
彼は先んじて乗り越えていたということもあり、ある意味「一歩先を進んでいたカル」として
もたついているカルを助けた。という感じなんでしょうか。
とまあイグナについての序文はこんな所でおいておいて
別離の時を迫られるカルとクレア。カルはクレアを連れだそうと説得するがクレアはすでに心を決めていた。
この辺の覚悟の差は今まで置かれていた環境の差によるものでしょうか。
たしかにあの場で攫って逃げたらイスラは全滅だろうし。
別離の時の挿絵のクレアが素晴らしすぎる。
あんな笑顔を見せられたらそりゃあカルも奮起しますわ。
別離後はかなり時間をすっ飛ばしながらの進行。
そのなかでもマニウス皇子によるこの世界の成り立ちはかなり驚いた。
てっきり天動説否定が来ると思ったら、天動説で成り立っている世界だったとは。
円盤状の世界の果てに次元の狭間があるとか予想だにしなかったですわ。
しかしこの皇子もちょっともったいない使い方だった気がする。
キャラ的に昔のカルと被るところがあるから、アリーとひっついたりしても良かったのかも。
世界説明だけで終わるキャラとしては惜しいからもう少し掘り下げが欲しかったなぁ。
あとアリーメンのチート性能は異常。
作中で最大のチートアイテムなんじゃないだろうか。
伝承に従い、世界の果てに向けて加速していくイスラと
そのイスラの最後が見開き口絵に。まあ文章で説明受けないとわからないですわな。これ。
何気にウルッときてしまった。無機物でウルッときたのってメリー号以来じゃないかしら。
帰還後、元皇子として演説を行うカルの文句はストレートでいいなぁ。
シャルルは立場的にファナを救いに行けなかったものの、カルは元皇子としての立場を利用してクレアを救いに行く。
恋歌は追憶との対比がそこかしこにありますねえ。
あとシャルルと言えば今まで空戦上でカルを助ける描写はありましたが、カルと話すというシーンが!
「海猫」がシャルルと明示されてはいないものの、いろいろな符合や登場シーンが挿絵付きだったりする点でまあ確定ぽい。
カルが旅立つ際に見せたアリーの恋心は、まさに追憶時のシャルルとファナのものを思い浮かばせる。
口絵裏側がそんなアリーの姿の絵なわけですが、ずいぶんと美人に育っちゃてまぁ。
- 歌えない恋の歌もある。
- 奪われても、踏まれても、引き裂かれても-。翼はいつまでも、恋の歌を歌っていた。
二つの恋を表した言葉として、このふたつはとても印象的。
前述した通り、追憶との対比という面でシャルルとファナを表したものでもある前者と
持てるものをすべて使い、恋を叶えようとするカルとクレアの後者。
追憶は1冊の悲恋譚として評価が高かった作品ですが、恋の成就を願う声も多数あったので
それを叶えるべく冊数をかけて人物の成長を描き、恋を叶えたのが恋歌。って感じでしょうか。
とまぁ長々と書いた割には身の少ない文章になってしまい自分の文才のなさを思い知ることしきり。
追憶を読んで、面白かったけどやっぱりハッピーエンドがよかったなぁ、と思った人ほどおすすめです。
...時にレヴィアタンの恋人の続きはまだなのかしら。
続刊の登場を心待ちにしております、犬村先生。
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